2020-06-06

漫画家、槙ようこは私の青春だった。今も、これからも、ずっと。

2020年5月31日。
漫画家の槙ようこ先生が引退した。

槙ようこ先生の漫画がずっと好きだった。
漫画が大好きだった私。1990年代、発売日に必ずりぼんを買った。オリジナル、びっくりといった増刊号も欠かさずに買っていた。槙ようこ先生のデビューから、ずっとずっと読んできた。

小学生~中学生の頃、わたしの夢は漫画家だった。りぼんの最後に掲載されている、漫画投稿者のページも毎号欠かさずに見ていた私は、槙ようこ先生がデビューする前から、投稿者ページを見て「この人の漫画、早く読みたいなぁ」と、その日が来るのを待っていた。。抜群に絵が可愛かったこと、そんなに年が離れていなかったこと、そう遠くないうちに、この人の漫画が読める日が来るんだろうなという期待感。

デビュー作が掲載された増刊号が発売された日、学校から帰ってきてすぐに本屋に向かった。一番最初に槙ようこ先生の漫画を読んだ。

もう20年も前のことなので記憶がおぼろげだけど、ときめいて、きらめいて、何度も何度も読み直した。ような記憶がある。それからも、槙ようこ先生の新作が出るたび、欠かさずに読んだ。

大人になってからも、りぼん本誌を買うことをしなくなってからも、槙ようこ先生のコミックスは買い続けた。中でも、ロマンチカクロックが宝物。『ぼくのキャンディ』が好き。槙ようこ先生の描く、ロングヘアで天真爛漫でちょっとワガママで、でもちゃんと自分を持ってて、そんな女の子が特に好き。

最後の作品になった『きらめきのライオンボーイ』は、すごくキラキラしていたけど、これまでの作品とはちょっと何か違うな、って。ハッピーな部分が多く詰まっているなぁ、意図的にそこだけ見せているのかなぁ、そんなふうに感じていた。

最後に発売された、槙ようこ先生のイラスト集で、「最後のつもりで描いていた」とあって、なるほどと思った。なんとなく、ほんのりと感じていた「んん…?」という感覚は、これだったのか、と。

この一冊には、槙ようこ先生が描いてきたものが、ギュッと詰まっていた。全部じゃない、けど、大切なことはほぼ残さずに、私たちのところまで届けてくれたように思う。

高校生の頃から30代後半までずっと、漫画を描き続けてきた人。私の『漫画家』という夢は、高校生になった頃にはすでに「無理だな」に変わっていて、槙ようこ先生が漫画を届けてくれた20年間、色んなことをした。社会人になった。色んな仕事をした。そんな中、ずっとずっと漫画を届け続けてくれた槙ようこ先生。

このイラスト集のなかで「やめたいというわけじゃないけど、いつまでこれ続けるのかなって」というニュアンスの話が出てくる。現在、りぼんの第一線で漫画を描いている春田なな先生も似たようなことを言っている。

私は、ずっと同じことを続けられる人はすごいと思う。
今は「せめて3年は頑張ろう」みたいなことをよく言われて、転職が当たり前で、色んな職業を好きに経験する人が多い中で、ずっと、ずっと、漫画を描いている。それは私たちの元へ届き、ときめきだとか、ハラハラだとか、ときには背中を押してくれたりだとか、様々な感情を与えてくれる。これがなくなったら、きっと人生の楽しさが5割…いや、6割、7割は減ってしまう。漫画をなくしたら、人生が色褪せてしまう。そのくらい漫画が大切だ。理由は様々あれど、多くの人が描くことをやめてしまうなかで、20年のあいだ漫画を描き続けてくれたことは、あの頃少女だった私たちへのギフトだと思う。

槙ようこ先生の漫画を読み返すと、はじめて読んだときのことを思い出す。
槙ようこ先生のデビュー作。『あたしはバンビ』。『愛してるぜベイベ★★』。数えきれない。今、私は決して不幸ではないけれど、もし叶うなら、小学生の頃、中学生の頃、高校生の頃、あの時間に戻りたいと思う。槙ようこ先生の作品は、一瞬だけ、あのあたたかくて幸せだった時間に戻してくれる。どの漫画を手に取っても、全部が大切。涙が出る。あの頃の気持ち、時間、大切なもの、全部、全部鮮明に思い出させてくれるためのスイッチでもある。

あぁ、もう槙ようこ先生の漫画は読めないのか。悲しくて、寂しかった。残念だった。でも、槙ようこ先生の去り方は、私が憧れる女性像そのものだ。

たくさんのものをくれた、槙ようこ先生。手元にある漫画は、一生の宝物。

 

イラスト集についてきたポストカードは、手帳に入れてずっとそばに置こう。くじけそうになったときに、力をくれるはずだから。

 

いいなぁ、かっこいいなぁ。
どこで、何をしているのか、もう知るすべはないけれど、『槙ようこ』を知った小学生の頃から今まで、私にとっての「こんな人になりたい」は、槙ようこだったんだと思った。このイラスト集を見て、気がついてしまった。

あぁ、かっこいいな。

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