実は私、長らく本を読んでいなかったんです。『仕事』や『勉強』という意味では本を読んできたけど、こういった類の本を読んだのは、実に数年ぶりでした。
でも、思い出してしまった。他の世界にトリップする快感を。王道ではあるけれど、東野圭吾や伊坂幸太郎を読みふけっていたあの頃の高揚感を、思い出したのです。
妹にすすめられるがままに読んだのが『たぶん、出会わなければよかった 嘘つきな君に』という作品。
妹いわく、「えっ、嘘でしょ!? っていうのが5回くらいある」とのこと。年が明ける前に一章の途中まで(とは言ってもほんの40ページくらい)読んで、忙しさに忙殺されて読むのを後回しにしてしまっていた。でも、ほんのちょっとしか読んでいなかったにも関わらず、なぜか「最後まで読もう」と思っていた。
あの40ページに惹かれていたのか。表紙の美しさに惹かれていたのか。それとも、帯のキャッチコピーに惹かれていたのだろうか? ようやく41ページめを読み始め、その後2時間もせず読了した。気がつけば、泣いちゃってた。
ハッピーエンドではない。決してハッピーではないけれど、そうじゃないからこそ美しい作品もある。あの『タイタニック』もハッピーエンドじゃないからこそ美しかった。これは、そういう作品です。
表面上は同じ出来事でも、人によって真実はこんなにも違うのか。二章で語り手が変わったとき、ページをめくる手が止まらなくなる。